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ホツマツタエのおもしろ記事114『瓊瓊杵尊』

2013-05-02 08:31
ホツマツタエのおもしろ記事(114)  瓊瓊杵尊



日本書記では「瓊瓊杵尊」、古事記では「邇邇芸命」と書かれ、「ににぎのみこと」と読む。『記・紀』は天照大神の命により、葦原中国を統治するため高天原から日向の高千穗に降臨したとしているが、ホツマにはそのようなことは書かれていない。日向の高千穂はホツマにおいては臨終の地である。
またホツマでは一貫して「ニニキネ」と呼ばれている。この違いは「タカギ (高木神)」が「タカキネ」とも呼ばれるのと同じ理由による。

「きね」は「きぬ」の名詞形で、「きぬ」は「こなす (熟す)」や「こねる (捏ねる)」などの原動詞「こぬ」の変態である。これらはみな「高める・熟成する・優れさす・精緻にする」などの意を持つ。だから「きね」は「熟・高」の意であり、「き (貴・奇)」と同じなのである。ちなみに「きぬ (絹)」も「きね」の変態であり、同じ意味である。

また「きね・き」は、「いざなき」「うひるき」の「き」と同じで、「軽くて高みに上った陽」の意から「男」を表す。 (参照:天地創造) だから「きね」は、「タマキネ」「ヤソキネ」「ハナキネ」など、男の斎名の「のり (乗り)」に使われる。

『幼名の "ウ" は '大い'なり "ヒ" は日輪 "ル" は日の霊魂 "キ" は "キネ" ぞ 故 大日霊貴の 尊なり "キネ" は女男の 男の君ぞ』ホ4文
『天つ君 一り十までを 仕す故 "ヒト" に乗ります "キネ" と "ヒコ" "ウシ" も乗りなり』ホ4文




アマテルはセオリツ姫の生んだオシホミミを世嗣御子とする。オシホミミは、7代タカミムスビで同時に代の殿でもあるタカキネの娘のタクハタチチ姫を后とし、ヒタカミの「タカの首」に遷都する。そしてタクハタチチ姫はクシタマホノアカリ (斎名:テルヒコ) と ニニキネ (斎名:キヨヒト) を生む。
クシタマホノアカリについては『十種神宝』『皇孫降臨』『そらみつやまと』『飛鳥の意味』のページで詳しく書いた。



ところで「ニニキネ」という名は、どうも斎名くさい名である。ホツマは黙しているのでここからは想像なのだが、もともとの斎名だったのではないだろうか。

以前、ホヒ (天穂日命) はもともと「タナヒト」という斎名だったが、オシホミミが生まれてからは「タナキネ」に変わったことを書いた。「-ヒト」の斎名は皇位継承者のものだからである。それと同様のことがクシタマホノアカリとニニキネの兄弟にも行われたのではないかと勘ぐっている。

つまり、この兄弟の当初の斎名は「テルヒト」と「ニニキネ」で、テルヒトが世嗣御子だったのだ。だからこそ三種宝と十種宝を受けて中国 (なかくに) の大和に下っているのである。それを兄の出来があまり良くなく、そして何よりも世嗣の子が生まれないものだから、途中で世嗣御子を弟に変更した。それに伴って斎名も「テルヒト」を「テルヒコ」に、「ニニキネ」を (ニニヒトでは音的に締りがないからか)「キヨヒト」に改めた。こんなことを空想するのである。 

ひょっとしたらこの兄弟のことを詠っているのではないかと思われる歌が「フトマニ」に2首あるので、参考までに挙げておく。

『をのきにの いさおしおとに あるなれは ゐゑもさかいも さにそきにける』
   (兄の貴の 功 弟に あるなれば 敬も栄も 下にぞ来にける)
フ83

『すきにふき あにかひさこは よのうつわ おとかなすひは すきになるなり』
   (鋭き 鈍き 兄が瓢は 万の器 弟が茄子は 杉に成るなり)
フ99



ニニキネが初めて登場するのは、行楽するアマテルに随行して「オノコロ」の意味を尋ねる時である。

『天地 晴れて 和かに御幸 遊びます "タカマは万の 地形 これ オノコロ" と にこ笑みて 中の巌に 御座します』『側に臣あり 天孫 御前に詣で 謹みて そのオノコロの 故を請ふ』ホ18文

次には、クシタマホノアカリが大和に下る際、ヒタカミから陸路を南下して鹿島に入った時、民の出迎えに田畑の耕作がおろそかになることを心配したアマテルは、ニニキネとタチカラヲを使者として、斎船で海路を行くように伝言させている。

『"汝とチカラと 速船に 行きて斎船 奨むべし"  よりて御孫と タチカラヲ ワニ船に乗り 上総の ツクモに着きて カトリ宮 神言 宣れば』ホ20文


これらの記述から、理由は不明だがニニキネは若年の頃、ヒタカミではなくイサワ宮のアマテルのそばに侍っていたことが推察される。



そして 26鈴17枝23穂 に、ニニキネは筑波山の北の「ニハリ (新治)」 (現在の茨城県筑西市新治) に現れる。この年はクシタマホノアカリが三種宝と十種宝を受けて大和に下る 26鈴16枝41穂 のわずか42年後である。ホツマの時間スケールで計れば、これはほぼ同時と言って良い。
しかしニニキネの場合、この時点では三種宝も十種宝も与えられていない。ニニキネがアマテルから三種宝を受けるのは 29鈴501枝38穂 だから、それからおよそ21万年後のことである。したがって少なくともその時までは、オシホミミの世嗣御子はニニキネではなく、クシタマホノアカリだったと言えるのである。



ともあれ、ニニキネはこのニハリの地に新たな都市を拓こうとやって来る。クシタマホノアカリに愛想を尽かして大和を落ちた大物主クシヒコとアマノコヤネも、ニニキネに召されてこの地に随行していた。

二十六鈴 十七枝二十三穂 三月初日 キヨヒト御子の 御言宣 
『オオモノヌシが 親の国 出雲八重垣 和り治む その元法は 先守の 功なれば 我も殊 立てんと四方を 巡る内 好き野を得たり ここに居て 治を開かん』 (ホ21文)

  • 『オオモノヌシ (大物主)』 ここでは2代大物主のクシヒコ。オオモノヌシについては こちら を参照。
  • 『出雲八重垣 (いづもやゑがき)』「オホナムチ」にかかる枕詞。「出雲の国守であり八重垣の臣でもある」の意。八重垣の臣=剣臣=オオモノヌシ。
  • 『和り治む (のりをさむ)』「和して治める」の意で「調和の道によって国を治める」ことを言う。「調和の道」のことを「調の道」「陽陰なる道」「トコヨの道」「ヤマトの道」などと言うが、その実現のための具体的手段が「経と矛」(法と罰) であった。
  • 『功 (いさおし)』「いさお」+「し (為)」。「いさお」は「いさむ (勇む)」の名詞形「いさみ (勇)」の変態で、「高まり・勢い・栄え・優れ・至り」などの意。「いさおし」はそれを行うことを言う。
  • 『殊 (こと)』「傑出したさま」を言い、「いさお (勲・功)」の同義語。
  • 『治 (た)』「たす (治す・足す・助す)」の名詞形で、「たす」は「合わす・和す」の意。よって「た (治)」は「収まり・まとまり・調和」などの意。ここでは「調和したまとまり」「コミュニティ」の意。


先ず建つる 名もニハリ宮
『フトマニに 宮造り法 定めよ』と
オオモノヌシに 御言宣  
(ホ21文)

  • 『ニハリ』は「にいはり (新治)」の音便。ホツマでは「新たな治まり」「新たなコミュニティ」という普通名詞としては「にいはり」、固有地名としては「ニハリ」と使い分けている。
  • 『宮 (みや)』は「みゆ (見ゆ)」の名詞形で、「みゆ」は「合わす・まとめる・収める・治める」などの意。よって「みや」は「入れ物・器」「まとまり・集積・都市」「政殿・政庁」などの意を重ね持つ。ここではこれらすべてを総合した意味である。
  • 『フトマニ (太兆)』は「すべての現れ・万象」という意で、これは万物万象の本源である「陽陰の48神」を指す。この48神は日本語のいわゆる五十音なのである。よってここでの「フトマニ」は、「言葉」「言霊」「まじない」「語呂合わせ」と同義である。詳しくは『ふとまに』を参照。
  • 『御言宣 (みことのり)』は「ことのり (言宣)」の尊敬語。「のり (宣)」は「のる (宣る)」の名詞形。「のる」は「のぶ (延ぶ・述ぶ)」の変態で、「放つ・延ばす・広げる」の意。アマテルと天君の専用語なのであるが、2人の例外がいる。 天君となる前の「ニニキネ」、そして「ヤマトタケ (日本武尊)」である。



-つづく-



参考サイト:http://gejirin.com/hotuma04.html
     :http://gejirin.com/hotuma18.html
     :http://gejirin.com/hotuma20.html
     :http://gejirin.com/hotuma21.html



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