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ホツマツタエのおもしろ記事121『大将軍』

2013-05-10 19:29
ホツマツタエのおもしろ記事(121)  大将軍


→ 前回のお話


瑞垣を 直す匠等 ウツロヰの 社木あれば 恐るるを ヲコヌシ 他の 木に移し 繕ひ 成りて また戻す これ 仮移し 障り 無し  ホ21文

  • 『瑞垣 (みづかき)』「みつ (満・瑞・蜜)」+「かき (垣・限・画)」。「尊い区画」、またその区画を限る垣を言う。ここでは後者の意。要は「君の坐す都市を囲む垣」で、「たまがき (玉垣)」「いがき (斎垣)」とも言う。
  • 『匠 (たくみ)』「た (手)」+「くみ (組み)」。 本来は「手を使って物を作る者・手工業者」の意。
  • 『ウツロヰの社木 (うつろゐのやしろぎ)』ウツロヰがアマテルによって居所とするように命じられた、東北の柳の一木。ウツロヰが落雷して破ったニハリ宮の東北の瑞垣付近にあったようだ。
  • ヲコヌシ (大国主)「大地を治める者」の意。「埴祭の法」と「宮造り法」を定めた大物主のクシヒコが、ニニキネより賜った称号。
  • 『繕ひ (つくろひ)』は「つくろふ (繕う)」の名詞形。「つくろふ」は「つくる (作る・告ぐる)」から派生した動詞で、「つくる」は「つく (付く・継ぐ・接ぐ・告ぐ)」の連体形から独立した動詞。「つく」は「合わす・収める・調える・直す」などの意。
  • 『仮 (かり)』は「かる (転る・繰る・回る)」の名詞形。「かる」は、ここでは「行き来する」「めぐる」など、「一所に留まらず変転する」の意。
  • 『障り (さわり)』は「さわる (障る)」の名詞形。「触る」と同じで、「添う・付く」が原義。これから「干渉する・差し支える」などの意となる。


またウツロヰの ヤマサ守 干支の補により 償ぎ守る 然れど主屋 造る時 強く咎むる これにより またヲコヌシに 問わしむる  ホ21文

  • 『ヤマサ守 (やまさもり)』やまさ」は多義であるが、ここでは「や (八)」+「まさ (枡)」+「もり (守)」。「まさ」は「ます (枡)」の変態。「枡」は相撲観覧の「枡席 (ますせき)」のそれで、「分け・区切・仕切」などの意。よって「やまさもり」は「8区分の守・八方の守」の意。「やまさかみ」とも言う。
  • 『干支の補 (ゑとのほ)』「キ・ツ・ヲ・サ・ネ」と「ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウ」と「ヱ・ト」の組み合わせで60パターンを作り、それを6回転して360日をカバーするが、1年には5日足りない。その不足を補うことを言う。
    ゑと (干支)」は「上下・陽陰・兄弟」が原義。「ほ (補)」は「ほふ」の名詞形「ほい」の簡略。「ほふ」は「おふ (負う)」「あふ (和ふ・合う)」などの変態で「合わす・足す・埋める・あてがう」などの意。
  • 『償ぎ守る (つぎまもる)』「つぐ (継ぐ・接ぐ・注ぐ)」+「まもる (守る)」の複合。「つぐなって守る」の意。「つぐ」は「合わす・足す・埋める」などの意。「まもる」は「合わす」が原義で、「仕える・治める・調える・保つ・見張る・世話する」などの意。
    ウツロヰはアマテルとニニキネによってこの干支守の補償を命じられた。
    『兄弟の末 ヤナヰカクロヒ 空 守り』 
    『ウツロヰの ヲマサ君とぞ 年のりに やしろ 賜わる』ホ21文
  • 『主屋 (あらや)』この「あら」は「あるじ (主)」や「あらか (殿)」のそれで、「中心・本拠・home」を意味する。これは『妹背鈴明2』で語られている「おなか (央中)」と同じ。
  • 『咎むる (とがむる)』は「とがむ (咎む)」の連体形。「とがむ」は「とく (退く)」から派生した動詞で「低める・下げる・しりぞける・懲らしめる」などの意。ここではおそらく落雷の災害を起こしたということだろう。
  • また八方守のウツロヰは干支守の不足を補い守る。ところが民の主屋を造る時、強くこれを阻む。よってまた大国主に問わしめる。


ヲコヌシ 曰く「汝また 民の主屋を 咎むるや」
ウツロヰ 答え「穢泥 伏せず 庭屋穢れを 我に出す 故に咎むる」 
ホ21文

  • 『穢泥 (をた)』は「おつ (劣つ)」の名詞形。「おつ」は「低まる・下る・劣る・穢れる」などの意。よって「をた」は「滓・澱・穢れ」などの意で、ここでは「糞尿」を言う。「ゑど (穢土)」「ゑた (穢多)」などの変態。
  • 『伏す (ふす)』ここでは「うす (失す)」の変態で「(人目から) 離れる/離す・隠れる/隠す」の意。
  • 『庭屋 (にわや)』とは「主屋の側の庭に設けた屋」の意で、「かわや (厠・側屋)」と同じ。昔は住居とトイレは別棟としたのだろう。これは同時に民にとって重要な「肥やしの屋」「肥溜め」ともなる。
  • 大国主 曰く「汝 また、民の主屋造りを退けるのか。」
    ウツロヰは答えて「糞尿を伏せず、厠の穢れを我 (空間・空気) に出す。だから懲らしめた。」


ヲコヌシが 申せば御言
「これ 汝 守 離るるを 我 請ふて また守となす 我が民を 故なく咎む」
「民は田を 肥やし ソロ 植ゆ 汝 知れ 堅地を熟地とす 故 熟屋 知らで穢るや」
 ホ21文

  • 『申す (もふす)』は「合わす・仕える・告げる」の意と「詣づ・上げる」の意があるが、ここでは後者。
  • 『御言 (みこと)』「こと (言)」の尊敬語で「命」とも書く。「詔・勅」と同じ。
  • 『守 (もり)』ヤマサ守として民の地上生活を守護すること。
  • 『民 (たみ)』は多義であるが、その一つは「たむ (治む)」の名詞形で、「治める対象となる者」「被統治者」の意。
  • 『田 (た)』は「たつ (立つ) 」の意の名詞形で、「高める所・栄す所・育てる所」の意。
  • 『ソロ (繁)』は「繁栄・繁茂」が原義。転じて、日・月のエネルギーを受けて実る農作物を言う。
  • 『堅地 (こわ)』「こ (凝・固・堅)」+「わ (埴・地)」。「堅埴 (くこはに)」の同義の言い換え。「(溶岩の流動性が無くなって) 固まった埴」の意。「くこわ (凝埴・堅地)」「くが (陸)」などとも呼ぶ。
  • 『熟地 (にわ)』(農産物の収穫に適した) 熟れた土地。肥沃な地。「ねわ (練地)」の変態。
  • 『熟屋 (にわや)』堅地を熟地とするための「肥やしの屋」の意。
  • 大国主が奏上すれば御言宣。
    「これ汝、ヤマサ守の任を解かれるところを、我が大御神に懇願して再び守とした。しかるに汝は我が民を故なく虐げる。」
    「民は田を肥やして作物を植える。汝 知れ。 (にわ屋の糞尿で) 痩せた土を肥沃な土に変えるのだ。なれば "にわ屋"
    は "厠" ではなく "熟屋" ではないか。それも知らずに穢れるというのか。」


「これにより "アヱ" より "ヤヱ" の 中五日 守を離れて 遊び行け この間 五日に 屋造りす これも汝が 名の誉れ 去なば殆ど ウツロヰの 守屋 果なれん」 ホ21文 

  • 『アヱ よりヤヱの中五日』ホツマ干支における「*アヱ」から「*ヤヱ」の5日間。12日毎に5日巡ってくるので、60日のうち25日はウツロヰは遊行に出かけて東北の守を離れることになる。
  • 『遊び行く (あそびゆく)』「あそぶ (遊ぶ)」は「あす (離す)」+「そぶ (削ふ・反ふ)」の合成。「あす」は「うす (失す)」の変態。「そぶ」は「そる (剃る・反る)」の変態。どちらも「離れる」の意で、ここでは「(通常から/仕事から) 離れる」「OFFにする」などの意。
  • 『名の誉れ (なのほまれ)』「ほまれ」は「褒められ」と同義で「誇り・栄え・尊敬・栄光」などの意。名とは「ウツロヒ (移ろひ)」であり、「(守を離れて) 移ろうもの・遊行するもの」の意を「ウツロヰ」にかけている。
  • 『殆ど (ほとんど)』「ほと」+「と (助詞)」の音便。「ほと」は「ほつ (秀つ)」の名詞形で、「高まるさま・勢いづくさま・栄るさま・至るさま」などの意。よって「ほとんど」は「まったくに・至って・大方」などの意。
  • 『ウツロヰの守屋 (うつろゐのもりや)』ウツロヰが守を担当する東北の方角にある家屋。
  • 『果なる (はなる)』は「はぬ (跳ぬ)」から派生した動詞で、「至る・満ちる・完成する」などの意。芝居などでその日の興行が終わることを「はねる (跳ねる)」と言うが、この「はねる」と同義。
  • 「よって干支の "アヱ" より "ヤヱ" の中五日は、守を離れて遊びに行け。この間五日に屋造りする。これも汝の "移ろひ" という名の誉れぞ。居なくなれば、ウツロヰの守る東北方面の家屋は大方完成するだろう。」


こうした経緯からウツロヰはニニキネに頭が上がらなくなり、ニニキネの子分のような神霊となるのである。「わけいかつち (別雷)」の意味の一つは、雷の主ウツロヰを手懐けたことを称えるものである。


これにより 民 治まりて 六万年 ツクバの宮に 移ります また六万年 フタアレの 逸の守とて 六万年 経て また元の ニハリ宮 逸大守の 殊 大いかな
ホ21文

  • 『ツクバ (筑波)』はイザナギとイザナミが天つ君となって初めて都とした筑波山麓の都市で、ここでヒルコが生まれている。新治を拓く以前、ニニキネは筑波にいた模様。
  • 『フタアレ (二現・再生・二荒) 』ヲバシリの馬術の奥義は「タカヒコネ (高彦根命)」に受け継がれる。 タカヒコネはヲバシリの再来ということで「フタアレ守 (二現守)」の守名を賜り、これが「二荒 (日光)」の地名を生む (今の宇都宮)。そのタカヒコネからニニキネ (瓊瓊杵尊) は乗馬術を習っている。
  • 『逸の守 (ゐつのかみ)』これはニニキネがタカヒコネに馬術を習い、「厳乗 (いつのり)」をマスターしたことにより賜った名。「いつ」は「至・甚・逸・頂」の意。「甚だしいさま・並み外れたさま・至ったさま」を表す。「逸 (いつ)」がニニキネを指す場合は、他と区別して「ゐつ」と表記することが多い。
  • 『逸大守 (ゐつををかみ)』ニニキネの別称。「大いなる逸の守」という意か。「厳乗 (いつのり)」をマスターしたことによる「逸の守」の名は、その甚だしい功績により「並外れた大守」の意に転じる。
  • 『殊 (こと)』殊勲。功。「傑出したさま」を言い、「いさお (勲・功)」の同義語。
  • これによって新治の民は治まって6万年を経る。ニニキネは筑波の宮に移り、ここにも6万年治めます。次に二荒の逸の守となり、また6万年治めます。そしてふたたび新治に戻ります。逸大守の功績の大いなることかな。




その後ニニキネは、アマテルから三種宝を授かり、収穫量を増やそうと各地に川・池を造りながら八州を巡る。ハラミ山麓にやってきた時、ニニキネはタチカラヲに命じて裾野に八湖を掘らせる。そして掘り出した土をハラミ山に盛って山頂の八峰を造り上げる。天の九座になぞらえて中心の峰が欲しいと思っていると、ウツロヰが琵琶湖を浚って水尾の土と人夫を運び、朝の内に中峰が出来上がってしまったという。この中峰は「ヰツアサマ峰」と名付けられた。現在の富士山頂にこの峰は無いのだが、八峰の名前 (伊豆ヶ岳・浅間ヶ岳) にその痕跡が残っている。

『"中の土 もがな" ウツロヰが アワ海 渫え ミオの土と 人 担い来て 朝の間に 中峰 成せば 上の名も ヰツアサマ峰』ホ24文

『天の山の 中 ウツロヰが アワの砂 九星の胞衣の 宗ぞ編みける』フ001



時は移ってニニキネも世を去り、「別雷の神 (わけいかつちのかみ)」となる。
長らく子に恵まれなかったカモタケズミイソヨリ姫の夫婦は、別雷神に祈ってタマヨリ姫を授かるが、育て上げてまもなく両親は世を去る。タマヨリ姫は葬儀を行い、一人で別雷神の宮に詣でるとウツロヰが現れ・・・

ウツロイが 疑ひ問わく「姫 一人 ワケツチ神に 仕ふかや」
答え「然らず」
また問わく「世に因むかや」
姫 答え「何者なれば 威さんや 我は守の子 汝は」と
言えばウツロヰ 飛び上り 鳴神してぞ 去りにける  ホ27文


ある日、姫が禊するために屋外に出てみると、軒に白羽の矢が刺さっていた。その後姫の生理は止まり、はからずも男子を生む。その子が3歳になる時、軒に刺さる矢を指さして「父」と言うと、矢は天に上って行った。「矢は別雷の神だったに違いない」と世に鳴り渡ったという。
この姫の話を聞いた時の天君ウガヤは、姫を后として召す。そして姫は神武天皇を生むのである。



埴に空が通ることで粗鉱が生成されると考えられていたことから、ウツロヰは「金属・刃物」の源でもあり、世に「金神 (こんじん)」とも呼ばれている。

『山に空の 通り成る 粗金のアワ 錫・鉛 清は果黄金 直白金 泥に赤金 果黒金』ホ15文


そして精錬した金属 (地から採取される粗金を精げたもの) を埴に戻し入れることで、穢れた地をも精げる効果があると信じられていたように思われる。 
現在でも地鎮祭において、金属製の鍬や鋤を土に入れるのはこの理由によると推察する。

『もしや汚曲の 障いせば 粗かねの埴を ウツロヰの 大将神の マサカリや』ミ8文

『出雲 杵築に 枯断の剣を植えて うづくまり 詰り問ふなり』ホ10文



参考サイト:http://gejirin.com/hotuma21.html
     :http://gejirin.com/hotuma22.html
     :http://gejirin.com/hotuma24.html
     :http://gejirin.com/hotuma27.html
     :http://gejirin.com/mikasa08.html
     :http://gejirin.com/mitinoku.html




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