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スピーカーの話

2014-01-28 14:25
スピーカーの話


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写真は二号愛用の自作スピーカー。長岡鉄男設計のBS-69 (愛称:ボトル)。260W×230D×400H。fostexのFE-126 (直径12cm)を装着。アンプのBASSを+8にすると50~16KHzがフラットという驚異のf特。

f特というのは「周波数特性」の略で、どの周波数帯をどのレベルで再生できるかをグラフにしたもの。低音域から高音域まで平らに再生できることが理想。これのみが音の良し悪しを決定するものではないが、測定器が計測できる、また人間が視覚的に確認できる唯一の指標である。f特から音色は見えない。

低音域用のウーファー、高温域用のツウィーターに分ける2way・3wayスピーカーが流行っているが、これは音質に関して良い所は一つもない。しかしf特を平らにするには一番簡単な方法であり、またルックス的にカッコいいので売りやすい。この大ヒットが往年のヤマハNS-1000Mだった。

以後内外のオーディオ機器メーカーはそれに右へ倣いとなる。理想は1本のSPユニットで全音域を平らに鳴らせることだが、現実にはそんなものは存在しない。マルチウェイ化に対するもう一つの選択肢は、箱に工夫を施して低音域を増幅するという方法だ。歴史的にはこちらの方法が古い。

バスレフ、ダブルバスレフ、バックロードホーン、共鳴管などは箱に対する工夫の方式だ。BS-69 (ボトル) の大きなエントツもそれであり、ダテや酔狂で付いてるのではない。このエントツはオーディオ用語では「ダクト」と呼ばれ、一種の排気口である。このダクトによって低音を増幅している。

低音域は箱の工夫で増幅可能だが、高音域はそれができない。だから1本のユニットで全音域を平らに鳴らすためには、高音域の再生が得意なユニットを選ばざるをえない。そうすると必然的に8~12cmの小口径のものとなる。口径が16cm位になると13kHz以上の高音は再生しにくくなってしまう。

2way/3way と 箱の工夫、どちらがいいのか?これは言葉では説明できない。自分の耳で聴けばわかる。「ベールが剥がれる」「雲が晴れる」という表現の意味が実感できるだろう。小口径ユニット1本のスピーカーの唯一の弱点は、耳が痛くなるほどの大音量は出せない、ということである。

我々は普通スピーカーの表側から発せられる音を聞いているが、実は裏側からもまったく同じ音が出ている。ただし位相は逆だ。表の音が+なら、裏の音は-である。この両者が混合すると打ち消し合って理論上ゼロになる。この混合を避けるためスピーカーは壁に埋め込んだり、箱に装着するのである。

陽陰 (正負、+ー) は和合すると透明になるのだ。そしてスピーカーの箱に施す工夫というのは、裏側から発せられた負の音を積極利用することにほかならない。位相が逆の音波は、わずかに時間差を与えると同相に転じる。つまり負の音が箱の内部を通る間に、遅れて正の音に転じるというわけなのだ。

そうなれば音波は増幅される。また幸いなことに、高音は減衰しやすくて遠くまで届かない。高音は箱の内部で消滅してしまうのだ(完全にではないが)。その結果、低音だけが取り出されてダクトから出てくるという具合だ。かくして我々は低音域部分の増幅を実現するのである。めでたしめでたし。

2way・3wayスピーカーで問題なのはウーファーだ。ウーファーは見てわかるように振動板 (コーン) が大きくて厚くて重い。この重量を駆動するには大きな電力が要る。つまり鈍感なのである。相当な電力を入れないと (ボリュームを上げないと) まともに音を出さないのだ。

f特は限界の大音量で測定する。ところが音質を左右するのはマイクロワットという微弱電力を再生する能力だ。この微弱信号を我は「音の靄」と呼んでいるが、これが再生できるか否かがオーディオの命である。鈍感なウーファーは「音の靄」の再生は困難。特に一般家庭での小音量では到底不可能である。

特に2wayスピーカーの場合、可聴帯域の大半をウーファーが受け持つ。これでは出てくる音は非常に大雑把な音にならざるを得ない。微妙な音は原理的に表現できないのである。ただ最近の我々はそんな音に慣れているという現実があり、制作側もそれに合わせて音作りする傾向があるように思われる。

繊細な「音の靄」を再生できるスピーカーで聴く時、マイク2本で比較的遠距離から録った古典的な録音の方が、ずっといい音に聞こえるものだ。


@gejirin1 Twitter 2014/01/26・27


マスコミに 踊らさる民
いましむる 評論家これ
マスコミなりき


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